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《エンジェル・ティア》 通常罠 自分の墓地から天使族モンスター4体をゲームから除外して発動する。 自分の墓地に存在する天使族モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。
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ほとんどのビルが高層となった今となっては、カレッジと言えども建物の一角を占めるに過ぎない。出会いと別れを演出する校門などなければ、桜吹雪を散らす桜並木もない。35番街の高層ビルの40階から45階にキラの通うカレッジがあった。 ただ一つ、このカレッジの矜持と言えば、エレベーター直通で行けるビルの屋上もカレッジのフロアで、そこに空中庭園があることだった。芝生と1本の桜。それを取り囲むように置かれた無数のベンチが学生達の憩いの場となっている。見上げれば周辺のより高いビルに切り取られて天蓋とは言えないが、確かにそこは空があった。珍しい青空が。 「見たのよっ」 ベンチの一つに腰掛けた茶色の外はねの女性が身振り手振りでなにやら説明している。隣で少しウンザリした様子の赤い髪の女性。 「分かったわよミリィ。でもそれ、今日何度目?」 「だって天使よっ天使。本当にいたんだから。ねっ、トール」 ベンチの向かいのベンチに腰掛けた男二人も女二人のやり取りを聞いている。 昨日の飛行船落下事故の現場にトールとミリアリアがいて、その事故の原因となったのが天使とそれを追うエンジェルスレイヤー、通称エンスレだというのだ。空中に逃げた天使を追うエンスレが飛行船を落したのだとか。トールの隣に座るサイはこう纏める。 「でも、やられちゃったんだろ?スレイヤーに」 「天使もエンスレも本当にいたんだなあ~って。現場もすぐ封鎖されちゃったしさ、案外あの噂も本当かもね」 街の治安を預かる警察の中でも第7機動課、通称セブンスフォースは天使の部隊ではないかという映画じみた噂である。通常の警察よりも高い権限を有し、秘密裏に事件難題を解決すると言われている。その部隊が実は天使だなどと。 どうして女は天使という存在に弱いのだろう。羽根が見えただの、美形だの、男性陣二人は話題をできれば狩る側に持っていこうと口を挟む。そして、彼らの思惑は別の要因によって成功した。 「遅いよっキラ」 獲物を見つけたように庭園に上がってきたキラをロックオンした。昨夜の出来事を話すミリアリアに生半可な返事をするキラはトールとサイを見た。 「もしかして、朝からずっと・・・」 「ちょっと聞いてよっ!キラ」 「あっ、うん」 いつものメンバーが揃った所でミリアリアは小声になった。 「そこでねすごいものを見つけたの。ここではちょっと言えないけど、5限が終わったらみんなに見せてあげる」 夕日がビルの影に消える頃にはすっかり閑散としたカレッジの庭園。 「5限まであると遅くなるよなあ」 5人の影も太陽の光ではなく庭園に設えた電灯でできたもので、気持ち肌寒い。フレイが思わず両手で肩を抱いたのを合図に皆がミリィを見た。彼女が見せてくれる何かを期待して、授業が終わっても帰らずにこうして屋上の庭園に来たのだ。彼女の言葉を待つこと数秒、聞こえた声はミリィとは反対方向からだった。 「待ちくたびれたぞ」 「貴方っ、あの時のっ!」 若い男。銀髪に白いハーフコートを羽織った男が腕を組んでゆっくり歩いてくる。トールとミリアリア以外に面識はないイザークであった。『知り合いなのか?』とこっそりサイがトールに確認を取ろうとするが、トールは驚いてサイの声に気づきもしない。 「ちょっとミリアリアっ」 全員が彼の反友好的な態度を感じ取っていたのに、ミリィ一人が毅然と彼と向き合う。 「何か用?」 イザークの肩眉が上がる。容貌が整っている分凄みが増し、思わずフレイを抱き寄せるサイ。 キラとトールが顔を見合わせて頷き、トールがようやくミリィの肩を掴んでその動きを止めようとするが。 「イザークさんって言うんでしょ?」 「何っ?」 彼女はイザークの名を読んだ。トールがそばにいるおかげが彼女の表情も幾分やわらかくなった。 「何か私達に用ですか?」 「お前、運がなかったな。人間を狩るのは俺の趣味じゃないが、そう大っぴらにされても困る・・・今夜のターゲットはお前だ」 白いハーフコートのすそが広がる。 誰一人こんな展開になるなんて予想していなかっただろう。エレベーターの入り口に近かったことが幸いして、5人はエレベーターに駆け込んだ。最後に乗り込んだキラが突っ込まれた片腕をカバンで押し戻して、ようやく下降を始めた。 「これからどうする?」 相手は何せ天使を狩るエンジェル・スレイヤー。エレベーター出口で待っていることは十分考えられる。今だって、いつエレベーターを止められるかもしれない。 「ミリィ。もしかして昨日のアレもって来ちゃったんじゃ」 トールが恐る恐る聞くと、ミリアリアがこくりとうなづいてカバンから化粧ビンを取り出した。香水ビンのような綺麗なそれは、エレベーターの中にあって微かに光っていた。トールの目が見開いて慌ててミリアリアの手から奪う。 「なんでこんなもんもってきたんだよっ」 「それ・・・何なの?」 人知を超えたそれを5人が見つめる。そして、銀髪の彼の目的がそれなのだろうと気づいた。彼はこの光る何かを奪いに来たのだ。 「とにかくこれからどうするか決めなくちゃ」 刻一刻とエレベーターは地上に向かっていて、残りの階数は1桁を切っている。誰もが口を開こうとして、自然とトールの手の中のビンに目が行く。ビンの中にはふわふわと光る何かがあって、その光が唐突にさえぎられた。 「貸してっ!」 そして、虚しい音と共に扉が開く。トールから小ビンを奪ってポケットに仕舞うと、慌てて地下階のボタンを押すキラ。 「とにかく行ってっ!」 扉が全て開かないうちに飛び出した。閉まるのボタンを押すことを忘れずに。ミリアリアの持っていたビンに入っていたのは間違いなくエンジェル・コアで。自分が囮になって自分にひきつけようとするキラは出口目指して走った。 当然それはイザーク達にも予想できる範囲であり、二手に分かれて待ち伏せされていた。地下はニコルに任せて地上で待っているのはイザークで、今はそのとなりに影のないディアッカがいた。様子を伺いながら出てくる一人を見つけて肩を竦める。 「イザーク、他にも狙っている奴がいるぜ?」 ディアッカが見ていたのは一つ上のフロア。窓伝いにロビーを覗き込める位置に防弾チョッキを着込んだいかにも特殊部隊な人物が複数移動している。 「気づかれちゃったんじゃねーの?あの人間がエンジェル・コアを持っているって・・・」 今度こそ本当にロビーに姿を現すキラ。 「へえ、なかなか頭が切れるじゃん?」 ところがキラは外を一瞥するとロビーを横切って奥へと消えた。 「あの重装備はサザーランドの奴の手下だろうな」 慌てて散開する黒子達を見て笑うイザーク。キラが向かった先など検討がついている。ビルと直結するエアバスターミナル。姿を消した先にはそこへと繋がるスカイウォークがあったはずだ。 「行くぞ、ディアッカ」 彼は軽く20メートルは飛んで渡り通路に飛び乗った。ガラス張りの通路をキラが懸命に走るのが足元に見える。もう一っ飛びして彼はエアバスターミナルの建物の向こうに消える。出口で待つこと2分、止まったムービングウォークにターゲットの足音が聞こえた。 「ご苦労なことだな。お前が持っているのだろう?」 キラがイザークを見て後を振り返った。姿を現すディアッカにまた視線を戻す。 「これを渡せは皆に何もしないって約束できますか?」 キラの右手がブルゾンのポケットの上に当てられている。たかが学生の分際で取引しようとするくらいの人間だ、度胸のよさが紫の瞳に現れていた。 「お前・・・」 人間か、こいつ? しかし、彩るオーラも気配も匂いも全て悪魔のものとは違った。 「約束できますか?」 「取引に応じるとでも?俺がエンジェルスレイヤーと知って言っているのか?」 キラが一歩前に動いて、イザークは銃を取り出す。 「どうせ僕達には使い道なんてないんだ。貴方だってそうおおぴらにできない身分なんでしょう?」 そう言ってもう一歩前に出る。確かにキラの言うとおりなのだ、もともと屋上ではそのつもりだったのだからこれはそう悪い条件じゃない。それなのにイザークは是と言えないのだ。ふとディアッカに目をやるといかにも『やれやれ』といった風に両手を上げている。 「気に入らないな」 ただそれだけだった。ではどうすればいいのかなんて答えはない。 「そんな・・・理由でっ」 キラがダッシュした。イザークが銃を構えてまっすぐに腕を伸ばす。飛び込んでくるキラに狙いつけ、地面に落ちるすれすれでイザークの引き金を引く指が止まった。 ガクンと体が後に流れ、足元がおぼつかない。動き出したムービングウォークにイザークの銃は夜空を望むガラスの天井を向き、視界の下の端でキラが一回転して足元を抜けていくのを見た。遠ざかる背に銃を構えなおした時、定時のエアバイクが到着した。 わらわらと降りる乗客に紛れてターゲットが消える。 「ディアッカっ!」 「今日はもういいんでないの? どうせたいしたことないコアだしさ」 乗客の何人かがこちらに向かってくるのをみてイザークは銃を仕舞った。再度に流れる暢気なCMに舌打ちして、動く歩道に任せてエアバイクターミナルを後にした。 急いでエスカレーターを駆け下りて、併設するショッピングモールに入る。胸ポケットに仕舞った小ビンをブルゾンの上から押さえて、努めて冷静を心がけた。すれ違う人、階下で見上げる人、店の奥で人通りを眺めている人全てが、キラの胸の内にあるものを狙っているように思えるのだ。 落ち着けっ。皆が知っているわけないんだ。 エアバスから降りてきた乗客と同じように、ショッピングモールのエントランスを抜け、入り口に設置された巨大なオーロラビジョンを横切る。キラが近づいたことに反応した広告が瞬時に該当する世代のCMを放映する。 通りは人ごみで溢れ肩をぶつけながらも、一度、後ろを振り返って上空を見上げた。エアバスの赤いテールランプを目で追えば、タクシーの前に割り込んで空路に入っていく。キラは一つ大きく深呼吸して歩き出した。 トールたちはどうしたのだろう。 イザークと言うスレイヤーがキラを追ってきたのは分かっている。無事を確認したくて歩道に備え付けられた公衆ヴィジホンに手を伸ばした。自分のIDカードを挿して一呼吸置く。案内を表示するパネルに映る背後に立つ男の影に、タッチパネルを操作する手が止まる。不自然に近づくその姿に急いでIDカードを抜いてヴィジホンを離れた。 予想通り追ってくる・・・。 イザークの仲間なのか? キラは後を注意しながらブルゾンに手を突っ込んだまま道路を横断した。この時代交通網は地上30メートルの空路に移っていたから、エアカーやエアバイクに轢かれることはない。それでも、まったく交通量がないわけではない。 突っ込んできたエアカーのボンネットに両手を突いて避け、タイヤの代わりのスキットに足を引っ掛けそうになりながら渡る。 このあたりは僕らの庭だっ。やろうってんなら受けて立ってやる。 キラは以外と負けず嫌いであった。 後に尾行している特殊装備の男を確認して、細いビルの谷間に折れる。アナログの盾看板や暖簾がはためく濡れた路地に入って一気に走った。再開発地区と工場地区とに隣接するこのブロックにはまだ旧市街が残っている。 きらびやかなネオンとは違った薄暗い明かりをいくつも潜って、足音が消えたのを確認してようやく走るのを止めた。 これ、一体なんなのだろう。 またブルゾンの上から小ビンを確認した。トールやサイといつか飲みに行った居酒屋を思い出す。小さくため息をついて歩き出す。この角を曲がれば確か看板が出ていたはず、そんなことを思いながら顔を上げると、頭上から路地に降り立つ人影が二つ。夜目でも一般人のする格好ではないことが分かる。まるでどこかの暗殺部隊のような出で立ち。 まだっ! 反対方向に折れて、更に暗い路地を走った。次第に建物の階数は減り、夜空が広く、カレッジがある方向にビル群が聳え立って見える。高層ビルが林立する地区と地区との狭間の再開発地区の上空にエアバイクのエンジン音が響いた。何より上からキラを照らすサーチライト。その数3本。後に気配を感じキラは慌てて身を捩った。 「そいつを寄越せっ!」 足元のゴミバケツを投げつけ、無我夢中で走る。低層ビル群を飛び回るエアバイクに警告灯を付けたエアバイクも加わる。 「なんで・・・なんでこうなるんだよっ!」 後を振り返るが、追ってがいるのかいないのか分からない。 高度を下げたエアバイクのライトに手をかざして目を守る。目を閉じた瞬間、何かが激しくぶつかる破壊音、古いビルの側面に激突したエアバイクが更に壁を削ってついに墜落する。前方の進路を塞がれて、キラは足を止めた。炎上こそしなかったものの、電気火花を散らす残骸を越えていけるとは思わない。逡巡する間にも迫る足音。どこかに逃げ道がないかと頭を廻し、4分の1まわって活路を上に見出そうとビルを見上げた時、その腕を掴まれた。 振り払おうと手を上げたが、それは虚しく宙を切った。 切るどころか、キラは足元にエアバイクの残骸が流れていくことに目を見張った。 自由落下する感覚に身体を硬くすると、地面にぶつかる衝撃が両足にあった。髄に届く衝撃に思わず涙しそうになって、無理やり我慢すると顔を上げた。 誰っ?! キラのすぐ横に背中を向けて誰かいた。自分の力でジャンプしたのではないことくらい明白で。情況を整理しようとフル回転するキラの頭は、新たにエアバイク爆発という要素を加えなければならなかった。飛び越えてきたエアバイクが爆ぜたのだ。視界には爆炎を上げるエアバイクがあり、背中を向けた男が振り返る。爆風でなびく髪の向こうで瞳が炎を映し込む。 見たこともない男と燃えるエアバイク、そして、残骸を乗り越えて向かってくる男達。 「逃げてっ!」 上空のサーチライトに照らされて、キラは見知らぬ誰かに叫んでいた。 視点を固定するのは止めました。できないことはするもんじゃないってことです。2話は島谷ひとみの「Garnet Moon」をバックに。歌詞は置いといてノリのいい楽曲がいい。ここまでが一応導入なのですが、大体の世界観が掴めるようにガムバッタはずなのだけど?如何。
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《天使騎士 エンジェルナイト》 効果モンスター 星7/光属性/天使族/攻2400/守2700 このカードの種族は「戦士族」としても扱う。 このカードが戦闘によってモンスターを破壊する度に、自分のライフを100ポイント回復する。 このカードは効果モンスターの効果では破壊されない。 Part13-244 耐性持ちの天使族なので召喚も比較的楽で場に出せば活躍するはず。回復効果と戦士族という効果もあるが活用は難しいかな……。 -- 地竜 (2007-07-07 17 33 37) 名前 コメント
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エンジェルロゼ(えんじぇるろぜ) 概要 登場作品 + 目次 ハーツ ハーツR 関連リンク派生技 関連技 ネタ ハーツ 習得者 イネス・ローレンツ ? 分類 特技 属性 システム: HIT数 消費エネルギー EG CG 攻撃力 → 詠唱時間 - 習得条件 ▲ ハーツR 習得者 イネス・ローレンツ 分類 特技 属性 - HIT数 消費TP 威力 詠唱時間 - 習得条件 Lv ▲ 関連リンク 派生技 ▲ 関連技 ▲ ネタ ▲
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〈エンジェル・シフォン〉 怪異 コスト5/太陽/スイーツ/天使/ATK3000/DEF3000 参戦→ このカードの発動に太陽のオドのみが支払われているなら、 味方デッキから"エンジェル・シフォン"1枚を探し、 戦場に出してよい。 その後、味方デッキをシャッフルする。 POLAR NIGHT~シンノヤミ~ ブースターパックで登場のコスト5の太陽の怪異。 太陽のオドのみで発動されている場合、同名カードをリクルートする能力を持つ。 能力に条件はあるものの、太陽魔法少女を多く採用しているデッキならば、条件を満たすことは難しくない。 また能力自体も、同名カードリクルートであり、ステータスとしても申し分ない。 しかしながらコスト5であり、また《アフタヌーン・ラミィ LV2》・《ショパート LV3》の能力によって出すと、能力を使用できない。 如何せん能力がかみ合っておらず、使用できれば強さはあるものの、扱いにくさが目立つ。 カード情報 フレーバー・イラストレーター はい、おかわり! illust jitari 収録 POLAR NIGHT~シンノヤミ~ ブースターパック BP02S2-005 C
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《バリアード・エンジェル》 効果モンスター 星3/光属性/天使族/攻 700/守 700 1ターンに一度、このカード以外の自分フィールド上のモンスター1体を選択する。 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 次の相手ターンのエンドフェイズ時まで選択したモンスターは破壊されない。 part16-188 名前 コメント
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剣と言う前時代も甚だしい武器に慣れていないせいか、プラントの護衛部隊は意外とあっさり三天使を逃してしまった。クルーゼが追わなくてもいいと言ったせいもあって、屋上は静寂をすぐに取り戻した。 「立てるかね」 「大丈夫です」 そう言ったものの、かなりの労力を要した。ディアッカが被ったダメージがイザークにも及んでいるらしい。エアビーグルに乗り込むのも一苦労だった。それをクルーゼに気づかれているのも承知だったが、ここは我を張りつづけた。 「君は学生ということだったが、卒業したらお母上の後を継ぐのかね」 そのつもりだと、漠然と考えているが、口には出せなかった。言葉にしたら最後、自分の前に1本長いレールが引かれるような気がして。 「まあ、そうだろうが。・・・君さえよかったら、少しプラントで勉強してみる気はないかね。この街から少し離れてみるのも、政治を志す上ではプラスになると思うが」 向かい合ったまま男は勧誘を始めた。しかし、仮面の覆われているためにその表情は読めず、肩の力を抜く事さえできなかった。仮面の下で動く口だけが唯一の手がかりであるが、心情的に受け付けないものがあった。 「天使達と対等にやり合おうとしたら、政治力だけでは敵うまいよ」 完全にシールドされたキャビンならではできる会話であった。一度仮面を凝視し、やはり真意を伺えないと知るや、イザークはそのまま霧雨に照らされていつもより明るい摩天楼に視線を向けた。 母上は無事に評議会ビルまで戻れただろうか。 ああ、ひどく汚れた格好だからキャビンを汚してしまっただろうと、今更ながら思い当たった。 翌日は見事な晴天。青空の中心に太陽が燦燦と輝き、真っ白な雲が流れて地上に風を運ぶ。その風の生まれる所。天宮。 二人の天使が長い回廊を歩いていた。左右に並び立つ純白の建物、どこまでも白い空には雲が幾重にもめぐり、見上げる果てに天使すら届かないと言われる神が座す最上天がある。 「このような事を報告する事になろうとは」 「雨空だというのが痛かったわね。高度を下げざるを得なかったから」 久しぶりに天宮に上がったマリューの表情は宜しくない。前を歩くナタルの表情に到っては怒っていると表してもいい程きつい物だった。地上での作戦失敗をうけた上層部の指令を拝領に来たのだからそれも仕方が無い。 第8軍天宮。列柱をくぐり、書類を受け取る。 「これはっ!」 思わず声に出すナタルと同様、マリューが急いで命令書をめくる。 「ハルバートン司令官。本気なのですか。これは・・・」 かつての指導官である司令官をマリューが見上げると、対する老いた天使も苦渋の表情を浮かべていた。天使は成長しない、しかし消滅はあるのだ。スピリッツのエナジーがそのまま姿となる天界においては、司令官の命数が残り僅かであることを示していた。 「それだけ、五月都市の穢れが進んでいるということなのだ」 「第8軍降下・・・」 辞したナタルとマリューが地上へ戻る時、上空が急にざわめく。地上から見上げる空とは別の、天空の雲の間から漏れる淡い茜色の光。それがものすごい速さで西から最上天へと流れる。 「黄昏の天使様がご報告に行かれるのね」 「ローエングリン全機投入とは。我らが主は何を考えおられるのやら」 めったに見られない最上級天使の顕現に跪いて祈りを捧げる周囲の天使達。二人も同じように光が消えるまで祈りを捧げ、8軍天宮を後にした。 「なんにしても、キラ君のことがお咎めなしなのはよかったわ」 「何をおっしゃいます。友人を助けるためとは言え、エンジェルコアを悪魔に差し出すなど。第7機動隊免職は勿論、厳罰に処した上での記憶剥奪ものです」 キラは堕ちたフレイを生かすために、持っていたエンジェルコアを差し出した。あのままテラスに放っておいたら、ローエングリンの影響で消滅するのを避けられない。更に運良く助かったとしても、堕ちたばかりのフレイは悪魔としてあまりに未熟でその精神を散らせるのを待つばかり。 だから、キラは悪魔の延命を図るというエンジェルコアをフレイに持たせた。ごく弱い光でも、コアが放つエンジェルフレアは悪魔の糧となる。穏やかに眠るフレイにゴメンと呟き、彼女を抱きかかえるサイにも同じように謝って、キラはあの場を後にしたのだ。 「キラ君、平気なふりをしていたけど、つらいはずよ」 「しかしっ!」 「私達も変に慰めたり、詰ったりせずに節度をもって応対しましょう」 すっかり指導官の口調に戻ったマリューに、ナタルも口をつぐんで天宮を飛び立った。降りるは守るべき穢れた地上世界。 しかし、二人を追い越して降下する大部隊。 ローエングリン発射体制を取りつつ陣を組んで降下する第8軍だった。 カレッジの庭園からキラは街を眺めていた。 一応はカレッジには来てみたものの、授業に出る気にはなれず、友人達に顔を合わせる事ができなかった。サイが来ているかどうかさえ分からない。鞄の中には一応本日の授業道具を揃えて家を出てきたが、それもただ親を安心させるためで。 今は2限中で学生もまばら。 庭園の一番端に立って、昼の大都会を見渡す。 変わらない、この街は。 人間が蒸発する事件が起ころうと、街の中心部でテロが起ころうと。赤いパトライトで遮断されたエアウェイと渋滞した空路。黄色いキープアウトで囲まれた封鎖された地区。喧噪だけ増えて、キラの周りでだけ時間が進む。見上げる青空に浮かぶ雲の向こう、天使達の大部隊が待ち構えている。 今日で最後だ。 握り締めた拳が白くなる。瞳を閉じて、深呼吸した。 鞄を背負いなおして、エアバイクのスキットに足をかけた。すっかり身体に馴染んだストライクに乗り込んで、エンジンを回した。庭園にいた学生が何事かと、顔を上げたが気にせずに上空に飛び立った。庭園への直接乗り入れは禁止されているなんてこと、もはやキラには関係なかった。 本日正午から、第8軍による72時間にわたる都市掃討作戦が開始される。 ストライクは渋滞のエアウェイを抜けて、天使達の居城へとビルの谷間を駆け抜けた。 既に出撃体制は整っていて、ビルの上空にはとんでもない数の天使達がいた。人の目にとまる高度にはエアバイクにのり、人の姿をとった天使達が。それより上空にはスピリッツとしての天使が隊列を組んで降下しているのが見える。 ナタルや他の主天使を従える、上級の天使長は老いて見えたが威圧感だけはあった。フラガに聞けばあれが第8軍司令官のハルバートン天使長。 「歴戦の知将だ。正直これだけの作戦なんて久しぶりだよ」 「この作戦には彼らも参加するから、よろしく頼む」 ナタルがフラガに紹介した天使達にキラは見覚えがあり、ただでさえ大きな瞳を目一杯見開いた。向こうも覚えがあるのだろう、キラに近寄ってくる。 「なにお前、協力者ってやつ?」 金髪の青年。そう、まだキラと変わらない程の青年が3人が下卑た笑いを浮かべる。 「お前かよ、ストライクっての」 「たりぃ。人間じゃん」 まるで不良のような言葉遣いに、これでも天使かと毒づいた。あの堅苦しいナタルが紹介する天使達にしてはキラから見ても行儀が悪い。何か言葉を返す気にもなれなくて、ただ睨みつける。 「その人間に一発食らっていたの誰だよ。ダセー」 「こんなのどうって事ねえよ。もう直ってるし」 スレイヤーの一撃を食らってもコアを奪われないと言うのなら、彼らはマリュー達大天使よりも上級なのだろうか。 「お前達、協力者相手に絡むのもいい加減にしろ。アズラエル様に報告するぞ」 ナタルが一喝しても、その態度を改める気にはないようで、こっそりため息を付くナタルを始めて気の毒だと思った。それを思えば自分はなんて素直な部下だろうと、フラガとマリューを見れば、やはり同じ事を思ったのだろう。こちらを見て苦笑いしていた。 「どちらにしても、大作戦である事には変わらないわ」 「何せ、ほぼ無差別に悪魔やスレイヤーをやろうって腹だからな」 そのための大量ローエングリン投入。 都市の空をほとんど覆う程にに、あまたの外輪を広げて市民に紛れる悪魔達を炙り出す。しかも、今回投入されたのは、屋内でもある程度効き目のある改良型。 「ハルバートン指令より号令」 どこからともなく、鐘が鳴り響いて正午を告げる。 空にリングが広がっていく。 都市を4分割して、それぞれ4大隊がローエングリンを照射する。 昼間から人が蒸発する事件が起これば、メディアが駆けつけ、中継のエアバイクも飛び回る。空に浮かぶリング状の模様をしきりに街角のディスプレイは映し出すが、真相を知るものはおらず憶測だけが飛び交う。 「キラ! 次の拠点へ向かうぞ」 「はいっ」 セブンスフォースは第8軍の一小隊として、悪魔やスレイヤー達の拠点攻略を請け負っていた。さすがに地下奥深くには作用できないから、地上へのあぶり出し係りである。以前キラが放っておいたウィルスプログラムから突き止めた、数々のギルドのネットワーク拠点を中心に、セブンスフォースが臨検だと言って駆けつける。 「抵抗しないで下さい」 キラの声は穏やかだ。でも、目が笑っていない。アグニの銃口に一寸のぶれもなく、逃げ出したスレイヤーを打ち抜く。ともすれば地上に出るまでもなく、残酷なほど容赦なくスレイヤーを倒していく。 自分でも不思議なくらい彼らの動きが読めて、身体を思った通りに動かせた。夕闇を過ぎて、スレイヤー達が悪魔の力を借りた時でさえ、キラは彼らを圧倒した。 どうして、今頃になって・・・。 キラの脳裏を掠めるのは、今まで散っていった天使達の光景、焦点を無くしたフレイの瞳。 人殺しじゃないかと罪悪感を感じていたのも昔の事。アグニの光線がまたスレイヤーを一人闇に返していく。 いつもより多いエアパトもサイレンの音にも、天使達の大攻勢が行われているなんて市民の誰も思わない。それでも、僕達は、毎夜こうして攻防を繰り広げているのだ。天使が勝てば、影が蒸発し悪魔が消える。スレイヤーが勝ては、エンジェルコアが夜空に上っていく。その夜はいつもより多くの星が輝き、夜の闇が薄くなって、それだけ命が消えた。 補給のために立ち寄った本部ビルで、深夜零時の鐘の音が鳴り響いた。キラの周りで膝を付いて上空を見上げる天使達。数体の天使の中心に一体だけ服装の違う天使がいた。実体化すればその違いは顕著で、明らかに上級天使とわかるオーラ。 マリューやフラガがいい顔をしていないのをこっそり盗み見た。 「おっさん、何しに来たんだよ」 「前線視察というやつをね、僕もしようかと思って」 あのガラの悪い天使以上に、気に喰わない何かをその天使は持っていた。金髪碧眼の如何にも天使然とした姿と、地上で言うところのマフィアのボスのようなスーツが余りに似合っていたせいだろうか。個性というには強烈過ぎる嫌悪感だった。 「アズラエル様っ!」 ナタルが慌てて駆け寄り膝を付いている。作戦前に絡まれた三天使が彼の傍に降り立つのを見て、黙して立つハルバートン司令に目線を映した。補給を終えたストライクを受け取って、夜の街を見据えながら他の隊員達が補給を終えるのを待つ。 サイレンがひっきりなしに鳴り、あちこちで上がる爆煙が夜空を埋める。 フレイはどうしているだろうか。銀髪の彼を思い出し、最後に、摩天楼に消える黒いコートの後姿を重ねた。 「君達うまくやっていますか?」 聞きたくも無いのに、あのアズラエルとか言う天使の声が耳に入る。どうやらあの三天使は彼の直属らしく様子を見に来たようだ。 「これで大人しくなってくれるといいんですがね・・・」 「貴殿ご自慢の天使達も実によくやってくれている。何か不安要素でも」 さらにハルバートンと対等に話す様子からかなりの上級である事が聞いて取れる。 「いえ、何。これだけの作戦です。万が一もないでしょうけど、相手は我々の情報を掻い潜る悪魔ですからね」 確かに、これだけの作戦を実行してもこの街から悪魔やスレイヤー達を一掃することはできないかもしれない。ギルドを潰せないかも知れない。 「それは問題ないのではないかな。ギルドの地下ネットワークにも今回は網を這ってある」 僕のおかげだけどね。 キラの情報収集プログラムから得られたデータをもとに今回は部隊配置が考えられているから、先手を打たれるとしてもまずあり得ない。その証拠に今夜は常に情報戦でセブンスフォースがリードしている。しかし、ハルバートンの話し相手は、鼻で笑う。 「ラジエル。アクセスされたようですよ。脱走時の記録がまるごと消去、されていたとか」 「うむ」 声が一段と低くなってキラのところからはついに聞き取れなくなってしまった。意識を戦いが繰り広げられる摩天楼に向けたとき、不意に近くで声が再開した。 「君がキラ・ヤマト君だね」 「は、はい」 ストライクにもたれていたキラは慌てて立ち上がって、上級天使を迎えた。連れ立って、陣中見舞いよろしく第7機動隊に激励に来たらしい。キラ以外の天使が慌しく敬礼して、また持ち場に戻っていく。 「がんばってくださいねえ、皆さん」 ふざけた応援をするアズラエルにさえ、皆敬礼し、あるものは膝を折る。キラもいやいやながら敬礼して答える。一瞥して去っていく背中を見送りながら、深く息を吐き出した。早く意識を切り替えようとして、手にした栄養ドリンクを口にする。しかし、早く頭から追い出したいキラとは反対にハルバートンとアズラエルはキラのことについて話をしていた。 「私もね興味ありますよ。エンジェルコアを持ち運べる人間とやらに。どうしてそんな人間いるんでしょうねえ」 「確かに生まれながらに穢れを持つヒトにはあり得ない話だ」 「あのプロジェクトさえ成功していれば、我ら天使が人間に協力を求める事など起こらなかったのだ」 「第4研究所のメシアプロジェクトですか」 腕を組んであざ笑うアズラエル。手を顎に持っていき、考える素振りをするが結論など最初から決まっているかのような口ぶり。 「貴方もメシアプロジェクト関係者でしたねえ。私はあんな子供だましでは常々手ぬるいと思っていたので、頓挫してくれてよかったと思っているくちなんですが・・・。せっかくの技術、使わない手はないでしょう」 「まさか、それがあの三天使だと・・・」 「そういうことです」 上空に飛び立っていった三天使を目で追い、キラは部隊の補給が完了したと知らせを受けた。 摩天楼に浮かぶエンジェルコア。路上で、空中で蒸発する悪魔やエンジェルスレイヤー達。各地で起こる事件・事故に都市の交通網と情報網はいつになく混乱する。それは評議会ビルでも同じ事だった。議員服をまとった議員達が与えられた執務室で全チャンネルのニュースを見、顔の利く頼みの機関や、秘書を通して情報収集をしていた。 「イザーク! ここを任せるわ。私は臨時委員会に出るから」 あのままクルーゼにここまで送ってもらったイザークもなぜかここにいて、丸一日医務室で眠った後、エザリアの秘書まがいのことをしていた。さすがにあの服装のままではまずかったので、SPの黒スーツを借りている。 多少面識があるくらいだったのに、このビルで支障なく過ごせる違和感を味わっていた。原因は直ぐに秘書やSP達の態度から知れた。 「イザーク様。外部からメッセージコールが届いておりますが」 つまりは、母が自分のことをしきりに後継ぎだと喧伝して回っていたからに他ならない。このまま、なし崩し的に秘書に納まってしまう恐怖さえ感じている。 「誰からだ?」 また、イザークの上に立つ物言いも原因の一つであった。他人に命令したり、傅かれる事に戸惑わなかったのだ。ディスプレイに向かうと、そこにはニコルからのテキストメッセージが届いていた。 昨夜のうちに自分あてのメッセージコールを受け取り、転送先を設定しておいたのだ。ニコルからの暗号メッセージを解凍すると音声メッセージが現れた。インカムを耳に当てて、ボリュームを下げて再生する。 『昨日は災難でしたね。でもおかけでアスランの事少し分かりましたよ。イザークの言うとおり、レノア・ザラの息子の名前はアスランです。レノアという女性のデータも見ましたけど、本当にそっくりです。アスランってプラントトップの息子だったんですね! この街の市民データに無くて当然ですよ。プラントの本拠地はここにはないですもんねえ。詳しい情報はデータで送りますから』 イザークは予想したとおりの結果に、自分のヴィジホンにデータを落として、あとはメッセージごと消去した。 別に奴の素性が分かったからと言って、どうにもなるものでもないが。 受け取ったデータを解凍して中身を覗く。イザークが知っているレノア・ザラの情報と言えば、今朝、母から聞き出した情報が既にある。前プラント総帥、パトリック・ザラの妻でパトリックとの間に息子が一人。パトリックが急死してから総帥に就任してプラントを率いる女傑。 イザークはニコルが持ってきた有象無象のデータのある一文に目を留める。急死というのもだいたい頂けないが、その前日に影を失ったとあるではないか。あくまでうわさに過ぎない一行が妙に引っかかる。 影を失うとは即ち、堕ちて悪魔になると言うことだ。 もしその場に奴がいたとしたら。その死に天使が噛んでいたとしたら、有り得ない事ではない。プラントと天使は敵対関係にあるだろうから、奴の天使に対する容赦の無さも理解できるというものだ。 「だが、父親がそれを許すのか?」 契約して、息子の一生を奪うなど。 イザークはここまで考えて、思考を止めた。考えた所で本人達にしか分からないだろうし、第一、この推測があっている保証もない。医務室を出てからろくに座ってもいなかったとソファに身体を預けて、画面がコロコロと切り替わるニュースチャンネルを見る。 臨時の委員会の議題は間違いなく、現在起こっている不可解な人間蒸発現象と頻発するテロ。即ち都市の治安問題で、イザークはそのうちの一つの現象の原因を身をもって知っていた。何気なしに見上げた夜空、窓の向こうに浮かぶ大量の光の輪に息を呑んだ。 2日目を6時間飛びっぱなしで作戦を終えたキラは、補給場所でストライクに臥したまま眠りをむさぼった。 疲れたというのが正直な気持ちで。終りの見えない攻防に後1日を乗り切るだけの体力が心配だった。心なし本部に詰める天使達にも疲れが見える。彼らに肉体的な疲労はないだろうから、あれは精神的な疲れから来るものだろう。 「・・・あと一日・・・がんばらなくちゃ」 それなのに、耳に届く不届きな声。 「どうにも成果が出ませんねえ」 なんだってっ! こんなにがんばっているじゃないか。 「雑魚ばかり倒しても意味ないんですよ、君達」 言われているのはあの配下の三天使だとしても、高みの見物しているだけの天使に言われたくない言葉だ。かと言って、わざわざ彼らのいる所まで行って言い返す気力など勿論ない。 「一日待っても成果なし。もう潮時ですかねえ、ハルバートン天使長」 「まさか、アズラエル殿!」 「僕はその権限をもつ告知天使ですしねえ、やっぱりやりましょうか、再生」 にわかに慌しくなった本部に、キラは顔を上げて一段高い本部を見上げた。アズラエルに詰め寄るハルバートンに刃を向ける三天使という仰天な光景が広がっていた。 一体・・・何が。 「もう決めました。この都市は再生させましょう。ローエングリンの照射レベルを再生設定値へ」 静まり返る本部。 本部付きの天使達の手が止まっている。ローエングリンの照射レベルを変えることがそんなに問題なのだろうか。キラは内容を詳しく知ろうと話し合いの行方を見つめる。 「おや、聞こえなかったんですか? 天使長」 「しかし・・・ヒト再生レベルは」 ヒト再生レベル? ヒト再生!? 「ああもう、じれったいですねえ」 アズラエルがインカムを引っつかんで、直接各隊に指示を出したようだった。やや遅れて、上空の外輪の色が変わるのが分かる。淡い青色から赤色に変えた時、キラはビルの谷間から上がる騒音に振り返った。ストライクを緊急発進させて、急降下する。 空路をせき止めているの交通事故は一つや二つではなかった。完全に止まっている交通網。路上にうずくまる人々。キラは目を瞠る。彼らの足元に。 影がない。 上空から降り注ぐ赤光に落ちる影は無かった。自分の影もストライクの影も路上のどこにも見当たらない。愕然として、冷たい汗が背中を流れる。反転して、本部に戻ろうとすれば、爆発を起こすビルがそこかしこに煙を巻き上げる。青い空が赤く染まり、街が動きを止めようとしていた。 キラよりも早くマリューとフラガが来ていて、既にアズラエルの前に盾のようにナタルが立ち構えている。 「キラ君!」 「影が・・・つっ!?」 その場にいた天使達の視線が一瞬キラの足元に集まり、上空で起こった爆発音に一斉に上を向いた。無数に広がる赤い外輪の一つが絶ち消える。その中心で煙を吐いて落ちるローエングリンと消える天使達。 「なんですかあれは」 アズラエルが三天使に向かえと指示し、ハルバートンが情況確認の指示を飛ばす。その間にもまた一つ外輪が消えて青空が回復していく。また一つ。故障などではない明確な破壊の意志がそこにはあった。 「視覚映像を出せっ」 ナタルの声に反応した天使達が陣中を慌しく動き回り、空中に巨大なスクリーンを投影した。ぽっかり浮かぶ霧にように見えて、水の粒子が像を結ぶわけではないのに映像が現れる。ノイズが入って時折ぶれる。 「こんなに映りが悪いのって、まさか妨害・・・?」 「天使の視覚映像通信でか?」 マリューとフラガの顔を交互に見て、霧の映像を見つめる。ローエングリン護衛中隊が上空からの紅い雷撃に貫かれて一瞬で消え、間髪おかずにローエングリンそのものが爆発する。煙に包まれてまた一つ。また一つ。 唐突に真っ赤にビジョンが震えて何も映さない瞬間が一秒、二秒続いて、別の所から見ているだろう映像に変わる。 「映像が悪いですねえ。ああ、ようやう繋がりましたか」 アズラエルが向かわせた三天使の誰かの見ている光景なのだろう。さっきよりずっとクリアな上空。赤い外輪とローエングリン、それを取り囲む第8軍の軍勢。 左右から飛び出すのは三天使の内の残りか、空気を切り裂く跡を残して、形を変える雲の塊に突っ込んでいく。映像がものすごいスピードで動き始めた、見ている天使も戦闘に加わったのだ。その速さは目で追うには限界があった。 向かってくる赤い稲妻。 急降下して、街の全貌を上空から映す。碁盤のように敷き詰められたビルと赤い外輪を描く空の間を立ち上る煙が繋いでいる。そんな光景が一瞬にしてビルの屋上に変わる。 「何か見つけたようですねえ」 「スレイヤーか?」 暗転する映像が一瞬、何かの先端を映す。赤く光る筋が入った、尖った錐のような何かが風圧と共に映像を揺らして途切れる。直ぐに回復した画面は黒一色で。 キラは自分の影を忘れて、頭上の映像を食い入るように見つめていた。 見覚えのある赤い槍。 引いていく黒ははためいて、向こうのビルに飛び去る姿は人の形をしていて。 瞬間的に詰めた距離から映される相手は、相変わらず無表情で碧の瞳を向けていて。キラの瞳がこれでもかと言うくらい見開かれる。体の中心から鼓動に合わせて熱が広がっていく。中途に半端に開かれた唇が、条件反射でその名を叫ぶ。 「アスランッ!」 三天使が同時に彼に迫る。 彼に集う風が手元から形作るもう一つの黒い槍。三振りの剣と黒い槍がぶつかり合って、衝撃で映像を消し飛ばした。キラはそびえ立つ高層ビル街に向けてストライクのスロットルを全開にしていた。ビルの海から黒い稲妻が龍のごとく湧き上がり、轟音がキラの鼓膜を震わせた。 衝撃は大気中を走って、都市の建物を震わせる。烈風がガラスの破片を引き連れてビルの谷間を駆け巡る。イザークはエザリアを急いでエアリムジンに乗せて、運転手に出ろと急かした。 ついさっき入ってきたエマージェンシーコールは、都市を去ったはずのレノアからのものだった。 『エザリア。悪い事は言わないわ。いますぐ5月都市を出て! いえ―――』 返答を待たずに切れたメッセージに、事の重大さを知った。空を見上げれば無数に浮かぶ赤いリング。立ち上る煙の向こうに見え隠れする赤と黒の稲妻。 動かない幹線空路。路上にうずくまる人々。今まで一度も交通違反をした事の無い運転手の交通事故。 「何がおこっているのだっ! これは」 エザリアの質問に、イザークは答える事ができない。だた、分かるのはこのままここにいることができないということだけで。急いで母を連れで外に出てみれば。思わずふらりと来る感覚。見に覚えがありすぎて、慌ててひさしのあるところに潜り込んだ。 「母上、大丈夫ですか?」 「ええ。ええ・・・大丈夫」 歯切れの悪さに舌打ちした。 進退極まったところに現れたのは、見たことのある装備を身に付けた護衛達。袖口に入る刻印でプラントの護衛だと気づいた。連れられるままに母をエアビーグルに乗せ、視界の端に入る黒い影に、はっと空を見上げた。相変わらず赤い外輪が浮かんでいて、何かが、それを横切る。ビルとビルの屋上を移動している黒い、コート姿の、人間。 まさかっ。 「母上を頼むっ」 「イザークっ。どこへ行くのっ!、イザーク、イザーク!」 ドアを閉めて、後を追った。滑り出したエアビーグルを確認して、自分のヴィジホンでニコルを呼び出す。三コール目で出たニコルはひどく慌てていて、街を出ると言っていた。今の情況のやばさが分かるのだろう。 『オロールの店で落ち合いましょうっ!』 東48番街の外れの店。 「分かった。いつもの時間だ」 こんな事をしていては、間に合わないかも知れない。 それなのに、イザークは路上に放置されていたエアバイクに飛び乗って、ビルの谷間に飛び上がった。指の先が内部から爆ぜるような感覚に、スロットルを戻しそうになった。霞む視界。 ディアッカ。聞こえるか? 路上にエアバイクが落とす影はなく、舌打ちした。青空が見えないとは言え、今は真昼間。悪魔であるディアッカが呼びかけに答えるはずがない。加えてこの天使達の攻撃。 ちょっと・・・イザーク、いいか? 「何だっ!?」 震える喉を無理やり押さえつけて怒鳴る。 裏・・・貸してくれ。 「は?」 説明いている暇ないんで悪いな。実はもう借りてる。 「な・・・なんでもいい、無事なんだな?」 まあな。ちったあ楽にしてやるから。 ディアッカが伝えたとおり、身体にかかる重圧のようなものが消えた。手足の痺れも消えて、ずっとはっきりと今の街の情況が見える。 「奴を追うぞっ!」 結構クライマックスのはずなんですが・・・なんか、こう臨場感というか、うまく表現できていません。なぜだあーーっ!
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ファーニマル・エンジェル ペンデュラム・効果モンスター 星2/光属性/天使族/攻 600/守1200 【Pスケール:青8/赤8】 (1):1ターンに1度、自分の墓地の「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを特殊召喚する。 【モンスター効果】 このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。 (1):このカードをリリースし、自分の墓地の「デストーイ」融合モンスター1体を対象として発動できる。 手札を1枚選んで捨て、対象のモンスターを特殊召喚する。 デストーイ補助 ファーニマル ファーニマル補助 ペンデュラムモンスター 下級モンスター 地属性 天使族 蘇生 融合モンスター補助 同名カード ファーニマル・エンジェル(OCG)
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コメットマスター・エンジェル コメットマスター・エンジェル ユニット-エンジェル 使用コスト:白2無2 移動コスト:白1無1 パワー:4000 スマッシュ:1 クイック このカードは対象にならない。 [このカードをフリーズする] 《ノーマル》 あなたは自分の山札を見て種族「エンジェル」のユニットを1枚まで選び、 残りのカードをすべて裏向きでシャッフルして山札にし、 選んだカードを山札の1番上にプランゾーンとして表向きで置く。 時に数百万の歳月を越え、凶事を告げる箒星。 元祖小型アンタッチャブルユニット「スターライト・エンジェル」の新たなる姿。 本人を援護しづらい点は相変わらずだが、レベル増に伴い基礎体力は向上している。 任意の同族をプランに呼べるため、随時状況に合ったものを呼び出せるような構築をすると活きてくる。 今回も姉2人とイラストが連結するパノラマ仕様で、 百瀬 寿×Hirokorin×渡邊里恵香(敬称略)による豪華コラボレーションとなっている。 収録セット フォース・センチュリー ベーシックパック(136/205 コモン) イラストレーター 渡邊里恵香 関連リンク 種族 エンジェル 3姉妹 コロナマスター・エンジェル ナイトマスター・エンジェル コメットマスター・エンジェル 参考外部リンク
https://w.atwiki.jp/projecter/pages/1271.html
作品概要 株式会社ブロッコリーが企画・展開していた作品。そのジャンルは幅広く、アニメ・ゲーム・漫画・小説・カードゲームなど多種多様である。 原作のストーリーは、白き月よりもたらされる先史文明「EDEN」の技術遺産「ロストテクノロジー」の粋を集めて建造された宇宙戦闘機「紋章機」を操る5人の少女からなる「ムーンエンジェル隊」と共に、青年将校であるタクト・マイヤーズが危機にあるトランスバール皇国を救済するというもの。 また、それぞれのジャンルで作品の内容に微妙な食い違いがある。 キャラクター原案はかなん(現在の名義は大月悠祐子)が担当している。 作品またはそれに出てくるキャラクターの人気は未だ衰えることなく企画自体が終わった現在でも企画再開の声をよく耳にする。 公式ホームページ http //www.broccoli.co.jp/ga/